以前雄猫の去勢手術についてお話させていただきました。
今回は雌の不妊手術のお話です。
当院では犬、猫ともに雌の手術は卵巣子宮全摘出手術を実施しています。
目的が不妊なので卵巣のみ、あるいは子宮のみでも目的は達成可能なのですが卵巣を残すと発情が来る、子宮を残すと子宮の病気がでる恐れがあるとの理由で全摘出しています。
去勢手術のコラムにも書かせていただきましたが自然のままということは繁殖も行動もコントロールできなくなり人との共存が困難になることが考えられます。
またこれらの手術は予防獣医学的な意義も大きいのです。
雌犬の場合子宮蓄膿症などの子宮疾患、卵巣疾患、偽妊娠(いわゆる想像妊娠、乳腺が張り乳汁の分泌があります)、乳腺腫瘍(乳腺腫瘍のコラム見てください)などの予防、さらにはアレルギー性皮膚疾患、糖尿病など代謝性疾患の緩和も期待できます。
それでも身体に影響ないん?と思われる方のために。。。
Q)まず太るんちゃうん?
A)以前と同じ食事を続けると肥満になります。これはホルモンの変化により必要カロリ -が減少するためです。今は手術後に適したフードもありますので防ぐことが出来ます
Q)成長に影響するんちゃうん?
A)仮に性成熟以前に手術を行っても骨格の成長や体重の増加にはほとんど影響しないこ とがわかっています。
Q)性格が変わるんちゃうん?
A)生まれ持った性格は変わりませんが発情期の不安定な精神的ストレスから解放されむ しろ穏やかになります。
Q)寿命縮まるんちゃうん?
A)手術を受けることで多くの病気を予防できるほか性的なストレスを回避できるのでよ り健康で長生きできると思われます。
ただ麻酔のリスクや手術によるストレスによる免疫低下は無いとはいえませんがメリッ トが上回ると考えます。
長々と書きましたがメリットの多い手術と私は考えます。とはいえ女の子の場合、男の子の手術と違いお腹を開ける開腹手術となり負担もあります。
迷われている方、ご遠慮なく相談してくださいね。
これは猫の摘出した卵巣子宮です