前回のコラムで酷暑見舞いと題して書きましたがその翌日より雨も降り気温も下がり酷暑も終わりの様相でした。
しかしそう簡単にはいかず暑さが戻ったかと思うと台風が直撃、猛烈な風雨とともに甚大な被害を残していきました。
被災された方々、お見舞い申し上げます。
秋分の日も間近、日中はまだ汗ばみますがもう秋です。大好きな夏は終わりました。正確には大好きなのは夏の終わり。大好きな夏が過ぎ去る時のなんとも言えないもの悲しさ寂しさ、祭りのあとのような虚無感が心地良いのです。
毎年9月になるとこんな気持ちで夏にお別れします。また来年と。
しかし今年はなぜか上手くお別れができませんでした。なぜだろうか?海にも行ったプールにも、お祭りも行った冷やし中華も食べたビアガーデンも行ったのになぜだろう…
墓参り行かなかった!!!
そんなわけで山田太一「異人たちとの夏」を読みました。
妻子と別れた47歳(作中で誕生日を迎え48歳になる、まさしくこの夏の私と同じ)の孤独なシナリオライターが子供の頃に死に別れた両親とそっくりな夫婦と出会うことが柱となった物語。自分より若い両親、自分達より老けた子供、その家族が織りなす不思議な団欒。どこか懐かしくも安らぎを覚える異界の人々との非日常体験。夏の終わりにもってこいの郷愁に満ちています。
物語は最後どんでん返しがありますが…
秋の彼岸、墓参りに行って暑かった夏にお別れします