感動の大阪マラソンから2週間が経ちました。激痛に襲われた膝の靭帯の炎症もようやく癒え少しづつ社会復帰出来つつあります。
身体の痛みもありましたが何より心が…。
決して折れたわけではなくいわゆる燃え尽き症候群のような感じでした。フルマラソンを完走された方なら理解していただけるかと思うのですが達成感、充足感が今まで経験したことがないレベルでした。何もする気がしない、走っている時に見たものがフラッシュバックする、心をあの時のフワフワした中に閉じ込める、などなど決して安定していませんでした。そんな中、昨日読売新聞社から「完走者新聞」なる物が届きました。
順位、氏名、タイムが書かれ私は男子20,903人中6,183位の4時間17分44秒でした。新聞にはたくさんのランナーのカラー写真が大きく載っていました。またしてもフワフワの中に入ってしまいました。今回は私が抽選に当たってから読んで気持ちが上がった本を紹介します。
まずは好きな作家の一人、三浦しをん「風が強く吹いている」。 大学の同じ下宿の住人でほとんどが陸上競技の経験なくさらに競技に必要な十人ギリギリで一年そこそこの練習で箱根駅伝に臨むというとんでもない夢のようなお話。しかしそこは作者の得意とする(?)男子の友情をコミカルに時にシリアスに疾走感をもって描いていきます。レースの場面はドキドキします。
次に同じく箱根駅伝を描いた堂場瞬一「チーム」。 同じ駅伝小説ですが主役は出場を逃した大学の中から予選で好タイムを出した選手が選ばれる混成チームの「学連選抜」。寄せ集めのメンバーは何のために襷をつなぐのか。究極のチームスポーツといわれる駅伝で選抜メンバーはチームとして機能するのか。「個」だったメンバーが徐々に葛藤しながらも目標に向かい激走する様は感動モノです。
最後は今回の題でもある村上春樹「走ることについて語るときに僕の語ること」。 これは小説ではなく作者が「走る小説家」として自分自身について綴った記録のようなものです。村上作品を読むのは2作目(ということは小説は1つしか読んでません)で、この本を手にして作者がランナーだったことを初めて知りました。ノンフィクションで自身を語るスタイルは多く共感するところがあり練習中のバイブル的な役目を果たしてくれました。
おそらく今後何度も読み返す本となるでしょう。そしてこれを手本に私も語っていこうと思います。