藝人春秋

この世のものとは思えぬあの世…
たけし軍団の芸人、水道橋博士が芸能界という「あの世」で目にした現実を「小説」のように騙る渾身のルポエッセイ「藝人春秋」
そのまんま東、石倉三郎、ポール牧、稲川淳二、ビートたけしなど魅力的な芸人さんたちの「夢」とも「現実」ともつかないような物語が著者の卓越した筆力で展開されていきます。
話芸で磨かれた巧みな言葉遊びの数々に笑い、同世代ゆえ共感できる話も多々、不覚にも涙する話もあり一気に読めました。
それぞれの登場人物のテレビ画面に映し出される表面的なものでない陰影と奥行きが見事に騙られています。
表紙の福井利佐の切り絵にも圧倒され「文藝春秋」と同じ書体のタイトルも見事です。
傑作です。
なぜか草野仁、堀江貴文、苫米地英人など「芸人?」な人物も登場し、またそれが面白かったです。

「本というのは結末があるから面白い。僕も含め芸能人も読者の方もすべての物語は閉じられる。しかし生きている限り物語は続いていく。そんな物語を背負う人に対する底知れなさ、得体の知れなさに惹かれます。」 (水道橋博士談)

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